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【建築士インタビュー】前編
建築へのゆるぎない思いを築いた
これまでの「仕事」と「出会い」
多くの人にとって大きな買い物であるマイホーム。その作り手がどのような想いで、何を大切にして家づくりを手がけているのかは大いに気になるところではないでしょうか。今回は、設計部門の責任者である高橋をインタビュー。ケーナインの建築のほとんどに関わる一級建築士のこれまでの経歴や、仕事をするうえで大切にしていることを前・後編でお届けします。
将来の夢は「大工さん」
小学生の頃、実家の建築現場で憧れて
覚えている限り、最初の将来の夢も建築関係だったという高橋。それは、小学生の頃に実家を建て替えたときに、工事現場で見た大工さんの姿がきっかけでした。
「ニッカポッカで働く大工さんが子ども心にカッコよく見えて、憧れましたね。そのあと私立中学に進学したのですが、高校には行かずに大工になる!と両親に宣言したんです。
いまにして思えば、勉強がキライだったのと、反抗期もあったのかな。大工という仕事はもちろん素晴らしいものの、安易に将来を決めようとしているのを親にも見透かされて『いまの時点で判断するよりは、まずは建築の勉強をしてみたら』と提案されました」(高橋、以下同)
そこで進路が決まって、建築学部へ進学。入学後は講義やゼミなどから幅広い建築知識を学ぶとともに、フォーラムなどにも参加し、見識を深めていきました。
建築事務所での新卒時代を経て
資格取得とキャリアアップの日々
「大学卒業後、研究室の先輩に誘われて個人の建築事務所で働き始めました。学生時代と違ってお客様の希望をお聞きして、家づくりに反映していく実務です。忙しい毎日の中で、上司やお客様から多くのことを学ばせていただきました。
設計事務所を退職後に一級建築士一次試験に合格。その後大手不動産会社に転職し、勤務のかたわら二次試験を受験して合格しています。一次試験までは独学だったので、効率よく勉強することを心がけました。一度のチャレンジで一級建築士の資格がとれたことは、自分でも嬉しく思っています」
その後は一級建築士の資格を持ちながら、大手不動産会社のセールスエンジニアや不動産会社の企画・仕入れ担当などを経験し、視野を広げることに。
「幅広い経験を積みたかったので、設計の仕事にはこだわらず、注文住宅の営業などいわゆる『家を売る』仕事もしました。そこで思ったのが、自分はフロント側というか、お客様に直接向き合う仕事が向いていて、好きだということ。自分自身が求める満足度はお客様の側にある、と感じたんですね」
宅地建物取引士の資格も取得したことで、土地探しも手がけるように。家づくりの最初からお客様に並走できるキャリアを築いていきました。
注文も分譲も落としどころはまず”住む人“
常に住むお客様のことを考えながら
高橋がケーナインに入社したのは5年ほど前のことです。以前に勤めていた会社の縁で、設計士として声がかかったのがきっかけでした。現在の肩書は設計企画部の部長。注文住宅の設計はもちろん、分譲住宅の企画も担当しています。
「ケーナインはもともと不動産事業から始まっている会社なので、土地探しの段階から『こんな家を建てたい』と思い描きながら設計に打ち込める土壌があるのが強みのひとつだと思います。
注文住宅については、実現したいことをまず思いきりぶつけてほしいですね。もちろんすべてが叶う訳ではありませんが、お客様にはあきらめずに伝えようとし続けてほしいです。予算などの制約があるなかでもかたちにできるよう、住む人の想いを受け止める努力をし続けるのが私たちの仕事ですから。
建売住宅は注文住宅と違って、地形の中で最大公約数的なつくりになりがちです。それでもそこに住む家族をできる限り具体的にイメージして、設計段階から企画します。その時点ではお客様はまだ存在していないのですが、家づくりのゴールは常に”住む人“にあるという想いは建売住宅でも変わりません」
注文住宅を建てるお客様には家づくりのプロセスそのものを楽しんでほしい、という高橋。常にお客様ファーストの姿勢で、これからも多くのお客様に喜んでいただける家づくりをしていきたいと考えています。ここからは、実際に高橋が担当した事例をいくつか、設計者の目線からご紹介します。
ケーナインでは賃貸物件も設計
思い出を守りながら、収益の安定で未来も守る
最初にご紹介するのは、奥様のご実家があった土地を売却するのが忍びなく、うまく活用できないかとご相談を受けたI様の例。奥様が育った土地の思い出を大切にしつつ、将来にわたって家族を守る収益性の高いアパートを建築することが課題でした。
「私自身も自らが生まれ育った実家については非常に思い入れが強く、I様のお話に深く共感しました。I様のご家族がこれからもずっと、この土地で思い出をはぐくむことができるようなアパート建築を目指した事例です。
まず、敷地形状を生かした凹凸感を出し、アパートとして無駄のない形状を備えつつ、奥様に喜んでいただけるような美しい外観をご提案。周辺にワンルーム物件が数多くあったので、あえて少し大きめのお部屋もご用意し、単身とふたり暮らしのそれぞれのターゲットに向けた間取りで、空室リスクの軽減を意識しました。
奥様はもちろん、将来この物件を引き継がれるご子息にも愛着を育てていただけるよう、内外装の仕様選びにご協力いただきました。プラン変更も何度かありましたが、I様ご家族にとって納得できるかたちになるよう、できる限り対話を重ねることにつとめました」
細部までこだわった甲斐があり、完成後は満室が続いているとのこと。I様も「アパート建設を通して家族の絆が深まったと感じます」と感慨深く振り返っていらっしゃいました。
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後編では高橋が設計した事例をさらにご紹介。印象に残っているお客様とのやり取りや設計上で工夫した点などを深堀りしていきます。設計士として、またケーナインの一員としての今後の展望などもお伝えしますので、どうぞご期待ください。