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寒い冬も快適に過ごせる「暖かい家」
建てる前に知っておきたいポイント
暖冬が続いていたここ数年と比べると「今年の冬は寒い!」と感じている方は多いかもしれません。日本気象協会※によると、2025年は強い寒波の影響を受けやすく昨年より寒い冬なのだそう。寒い日は、できることならおうちで暖かく過ごしたいもの。マイホームを検討している方向けに、家の各所でおすすめの暖房器具の特徴や、ケーナインの設計士に聞いた暖かい家の作り方をまとめました。
2025年の天気傾向|日本気象協会
https://weather-jwa.jp/news/topics/post4115
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各暖房器具の特徴とメリット・デメリットは?
暖房器具には部屋全体を暖かくする全体暖房と、限られた範囲を暖める部分暖房があります。全体暖房には家を建てるときに設置するものも多いため、あらかじめどのような暖房を採用するのか検討しておく必要があります。主な暖房器具と、特徴は以下の通りです。
- 床暖房
床に電熱線や温水の通った管を設置することで部屋を暖める全体暖房で、導入には設置工事が必要です。床そのものも温かくなりますが、床から部屋全体に伝わる「輻射熱(ふくしゃねつ)」によって部屋を暖めるため、エアコンのように風が起きず、部屋を均一に暖かくすることができます。また、乾燥やホコリの舞い上がりを防ぎます。
デメリットは部屋が暖まるまでにやや時間がかかることや導入時のイニシャルコストが高額になりがちなこと。また、床暖房の設置場所にピアノなど重たいものを置くには、下地などの工事が必要な場合があります。
- エアコン
夏も使えるエアコンは各居室に必須といえます。とくに寝室や子ども部屋などの個室の暖房はエアコンに頼ることになるでしょう。部屋全体を暖める能力が高く、ストーブのように燃焼を伴わないため部屋の空気をクリーンに保つことができます。
デメリットとしてはやはり部屋が乾燥しやすくなることが挙げられます。また、室外機を置くスペースが必要で、設置の際は壁に穴を開けなければなりません。
- オイルヒーター
本体に入っているオイルを温めることで輻射熱を発生させるオイルヒーター。メリットは床暖房と似ており、風が起きず乾燥しないこと、表面温度自体は60℃前後とそこまで熱くならないため比較的安全であることがあります。ただ、温める力はやや弱く広い部屋には向きません。本体も重く場所をとるのも弱点です。
- ファンヒーター
電気のほか、ガスや灯油によって温風をつくり、部屋を暖めます。ガス栓とガスコードが必要なガスファンヒータや給油の手間がかかる石油ファンヒーターよりも、持ち運びが簡単な電気式セラミックファンヒーターが主流となりつつあります。電源を入れるとすぐに暖かくなるため、朝起きたときや帰宅時などに活躍します。
ただし温風が出るため乾燥しやすく、ホコリを舞い上げてしまうのがデメリットです。- ストーブ
発熱体となるカーボンやグラファイトなどに電気を通して発熱させる電気ストーブと、灯油を燃料にした石油ストーブがあります。ファンヒーターが温風を出すのに対し、ストーブは直接発生した熱(遠赤外線)によって部屋を暖めるという違いがあります。
部分暖房である電気ストーブは持ち運びしやすく、家の様々な場所で使えることが長所です。石油ストーブのメリットは災害時など電気が使えない時にも灯油さえあれば暖をとれたり、お湯がわかせることです。しかしどちらも火災リスクはやや高く、石油ストーブは定期的に換気を行う必要もあります。
- その他
その他に家を温める方法には、薪ストーブやペレットストーブ、家全体の換気と冷暖房を行う全館空調などがあります。こたつや電気毛布、足温器などの部分暖房は、他の暖房器具と併用している方も多いのではないでしょうか。
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家族が集まるリビングにおすすめの暖房は?
暖房設置の時に覚えておきたいポイント
ケーナインの設計士である高橋は、最近の新築ではリビングに床暖房を設置するケースが主流になっているといいます。
「国が定める省エネ基準が引き上げられるとともに家自体の断熱性能も上がっているため、エネルギー効率の高い床暖房で暖房効率のよいエコな家をつくるケースが増えています。特に、ガス式の床暖房は立ち上がりも早く強力なので、給湯の排気熱を効率的に利用できる『エコジョーズ』と合わせて取り入れるお客様が多いですね」
安全でお部屋全体を心地よく暖める床暖房は、家族が集まるリビングにぴったり。最近はキッチンをオープンにしてLDKを広くとる間取りも多いため、キッチン側にも床暖房を取り入れるご家庭も。
エアコンに関しては室外機の関係もあり、リビング側からダイニングキッチンに向けて設置することが多くなります。建築時ではなく、後から家電量販店などで購入して取り付けてもらうこともできますが、気をつけたいのがコンセントの位置と室外機。
「建築時にエアコンを付けない場合でも、ふさわしい位置に電源を設けるようにはしています。しかしバルコニーのない3階の部屋などは室外機を置く場所がないため、エアコンの後付けが難しい場合も。
外壁に取り付けたり、ダクトを1階まで下ろして室外機を地面に置くことになりますが、建築時に足場を組んでいるときに工事してしまう方が、後付けで改めて足場を組むよりコストを抑えられます。家づくりと同時に設置した方が外観もすっきり見せられるため、先にご相談いただければと思います」
居室以外では、洗濯ものの部屋干し派が増えている関係もあり、浴室乾燥暖房機の設置も増えていて、こちらも効率がよく強力なガス式をおススメすることが多いそうです。
暖かい住まいには断熱も大切!
補助金なども利用して賢く建てよう
「暖房器具ももちろん大切ですが、暖かい家には建物そのものの断熱性が最も重要です」と高橋。断熱性能が低い建物だと、暖房をフル稼働させても部屋がなかなか暖まらなかったり、窓際や廊下は寒いまま。光熱費がかかるだけでなく、ヒートショックなどのリスクもあります。
湿気が多い気候から、歴史的に夏基準の風通しのいい家づくりが推奨されてきた日本。実は日本の住宅の断熱性は世界基準ではかなり遅れており、環境省や国土交通省によって現在、断熱性能向上のための様々な施策がとられています。
2025年4月1日からは、日本の全ての住宅・非住宅において断熱等級4以上の適合が義務化されます。2030年にはさらに断熱等級5に引き上げられるといわれており、住まいへの省エネニーズもさらに高まっていくでしょう。
断熱性能をはじめ住まいの性能を上げることは建築費のアップにもつながりますが、光熱費などのランニングコストは抑えることができます。また、国や自治体が住宅性能が高い家の建築やリフォームに対して補助金を出しているため、これらを利用することで建築費を下げられるでしょう。
2024年度は子育て世帯や若者夫婦世帯を対象にした「子育てエコホーム支援事業」がありました。長期優良住宅もしくは断熱性能5にあたるZEH住宅の新築に対しての補助金で、2025年度も同様の補助事業が決定しています。
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「子育てエコホーム支援事業」をはじめ、補助制度はあらかじめ登録した建築会社との契約のみを対象としているものが多くあります。事業のホームページから支援事業者の検索ができるため、家づくりを検討している方は調べておくとよいでしょう。次の冬はぜひ暖かい家で、快適にお過ごしください。