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地震や台風などの自然災害に備える!
家と家族を守るためにできる防災対策

元日に起きた能登半島地震、8月に入ってからの南海トラフ地震発生を予測する臨時情報などで、防災対策の重要性を改めて実感している方も多いのではないでしょうか。もしもの時に家族の命を守るための「住まいの防災対策」についてまとめました。

まずは情報収集!
ハザードマップは必ず確認を

これから家を建てようとしている場所やいま住んでいる場所で、まず確認しておきたいのがハザードマップです。洪水や土砂災害、地震などによる被害の大きさを予測した地図で、避難所・一時集合場所などの防災関係施設の位置も載っています。

ハザードマップは水害や土砂災害、津波など災害ごとに分かれており、それぞれの災害発生時に被害が出ると想定される区域がその度合いとともに地図で表示されています。

国交省と国土地理院が提供しているハザードマップポータルサイトでは、住所や現在地からハザードマップの検索が可能。複数の災害について、地図上で重ねて確認することもできます。

ハザードマップで災害の危険度合いを予測するとともに、近所の避難所・一次集合場所まで、自宅からの徒歩での行き方、かかる時間なども把握しておきましょう。普段から家族と「もし外で地震にあったらここで落ち合おう」などと決めておくのもいいですね。

また、大きな地震などが発生したときにメールやSMS、LINEなどが必ずつながるとは限りません。非常時の連絡手段としては、NTTが提供している災害用伝言板「web171」や、各キャリアによる災害用伝言板があります。こちらもあらかじめ使い勝手を確認し、家族と情報共有しておくと安心です。

家の中でできること
防災グッズはどこに置くべき?

次に、家の中でできる備えを考えてみましょう。すぐに思いつくのは防災グッズの常備ですが、非常時に避難所に持ち出すものと自宅で避難生活を送るための準備がそれぞれ必要です。備えておきたいものを以下にまとめました。

【持ち出し用】

自宅から避難所へ避難する際に持ち出すもので、重すぎると運べないため、必要最小限のものに絞ります。リュックなどにまとめて玄関収納や車の中など、持ち出しやすい場所に置きます。

飲料水
避難する際の水分補給用で、1人あたり2L程度用意しましょう。500mlを4本に分けて準備しておくと飲みやすく衛生的で、人にも分けることができます。
衛生用品
簡易トイレ、トイレットペーパーやマスク、歯磨きシート、タオル、ウエットティッシュなどです。女性は生理用品、赤ちゃんがいる場合はオムツやおしりふきなども含まれます。
医薬品
常備薬やお薬手帳のほか、消毒液やばんそうこうなど、軽度のケガを手当てできるものを用意します。
貴重品
現金や身分証明書・健康保険証のコピー、印鑑などです。銀行口座や保険に関する情報はメモに控えておきましょう。
照明器具
懐中電灯やライトと、それらを使うための予備の電池などです。
防災ラジオなど
インターネットにアクセスできない場合の情報収集手段で、AM放送とFM放送の両方を聞けるものがおすすめです。電池不要の、手回し式の充電機能がついているものもあります。
その他
ホイッスル、筆記用具、ビニール袋、モバイルバッテリー、軍手、レインコート、カイロなどです。ペットがいる人はペットシーツやフードなどをキャリーにまとめておきましょう。

【自宅避難用】

避難所に入れず、自宅や車中避難する場合を想定したものです。非常用持ち出し袋に加えて以下のようなものがあるとよいでしょう。こちらはそれなりに場所をとるため、階段下や廊下に収納場所を確保しておきます。

飲料水
1日に必要と言われる3L×3日分×人数分を備蓄しておきましょう。
食料と調理器具
水道や電気、ガスが使えない場合を想定して、調理の必要がないレトルトご飯や缶詰、乾パンなどを常備します。カセットコンロとガスボンベ、紙皿などもあれば安心です。
その他
ヘルメット、ランタン、ウォータータンクなど

停電に備える!
ソーラーパネルやポータブル電源など

災害時に起こり得るのが停電。ライフラインの中では比較的復旧が早いとはいえ、2011年の東日本大震災では電気の復旧まで一週間程度かかりました。

家族との連絡や情報収集に欠かせないスマートフォンの充電や夜の灯りのためにも、自家発電の手段があれば安心です。最も発電量が多いのが屋根に設置するソーラーパネル。蓄電池もあれば平時とほぼ変わらない生活が可能です。

電気代が高騰していることもあってソーラーパネルの導入例は増えていますが、東京都では2025年4月から新築住宅への設置が義務化される予定です。あわせて導入補助金の拡充や維持費用の支援なども検討されています。

補助的な自家発電の方法として、ポータブル発電機や持ち運び型のソーラーパネルなどもあります。もとはキャンプなどで使う人のためのアウトドアグッズでしたが、最近は防災対策で購入する人が多いようです。

ポータブル発電機はエアコンなど消費電力の大きい電化製品の使用には向いていませんが、スマートフォンの充電や電気ポット、照明などには対応できるため、備蓄食料などと一緒に置いておくと安心です。

また、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などに搭載されている走行用バッテリーは、電圧を12Vから家庭用の100Vに変換するインバーターという装置を使うことで、家電製品などの電源として利用することができます。

あらかじめ自宅にV2H(Vehicle to Home)システムを導入していれば、非常時に車を蓄電池のように使い、車から家への電気供給を行うことも可能。設置には電気工事が必要ですが、EV車に乗っている方は、導入を検討してみてもよいかもしれません。

耐震等級って?
災害に強い家づくりのこと

様々な備えに加えて、家そのものの耐震性は気になるところです。マイホームの購入を検討するときには「旧耐震基準」や「新耐震基準」、「耐震等級」などといった言葉が必ず出てきます。

旧耐震基準
震度5程度の地震で倒壊しない程度の強度を求めた耐震基準で、1981年5月までに建築申請を受けた建物が当てはまります。
新耐震基準
1981年6月1日から施行された耐震基準で、震度6強~7程度の揺れでも家屋が倒壊しない強度とされています。耐震基準は2000年にも改定され、こちらは新耐震基準のなかでも「2000年基準」と呼ばれています。
耐震等級

2000年の建築基準法の改正に続き、同年「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で定められた耐震性能の段階評価のことです。耐震等級は1〜3まであり、耐震等級1は現行の耐震基準と同等の基準です。

具体的には、震度6強~7相当の地震で倒壊せず、震度5程度の地震で損傷しない強度とされています。耐震等級1の1.25倍の耐震性を備えるのが耐震等級2、1.5倍が耐震等級3です。病院や学校には耐震等級2が、防災拠点となる消防署や警察署には耐震等級3が指定されています。

新築の家は耐震等級1を必ず満たしていますが、それより上を目指すかどうかはオーナー(施主)が決めます。ただし耐震等級を上げるぶん建築コストがかかり、間取りの自由度が下がってしまうことがあります。建てたい家と予算のバランスも加味して検討しましょう。

耐震等級1 震度6強~7相当の地震で倒壊せず、震度5程度の地震で損傷しない強度 現行の耐震基準と同等の基準
耐震等級2 耐震等級1の1.25倍の耐震性を備えている 病院や学校
耐震等級3 耐震等級1の1.5倍の耐震性を備えている 消防署や警察署
Point!

災害に備える住まいは単純な建物の強度だけでなく、立地や間取り、設備など様々な面から考える必要があります。ケーナインではお客様からの丁寧なヒアリングをもとに、安全で住みやすい家をご提案しています。耐震等級のご要望にもお応えしますので、ぜひご相談ください。