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親子のコミュニケーションを育みつつ
独立心を育てる子ども部屋とは?
お子さまの誕生や成長がきっかけで、家づくりを検討されるご家族は少なくありません。よく耳にするのが「子ども部屋はいつ、どれくらいの広さでつくるべき?」という疑問。もちろん教育方針や子どもの性別、きょうだいの数によっても変わりますが、ケーナインでよくあるご要望や、子ども部屋づくりのアドバイスなどを、設計士の高橋に聞いてみました。

10歳くらいで独立した部屋が欲しくなることが多い
今は大空間→成長に合わせて仕切るのもOK
まず、独立した子ども部屋は何歳くらいから必要なのでしょうか。東京ガス都市生活研究所の調査レポート※によると、小学校低学年で半数以上の子どもが「自分だけの部屋」もしくは「他の兄弟姉妹と一緒の部屋」を持っています。「自分だけの部屋」を持っている子どもは、小学校高学年の男子で4割、女子で5割を超えてきます。
「ご家庭にもよりますが、ケーナインのお客様はお子さまがまだ小さいご家族が多いため、小学校低学年から子ども部屋のご要望をいただくことが多いです。私自身の経験をふまえてお話させていただくと、子どもがはっきりと『自分の部屋がほしい』という意思を持つのが10歳くらい。
そのため、お子さまが生まれたばかりで間取りにそこまで余裕がない場合は、今は家族全員の寝室として広く使い、10年後に仕切れるようにしておくプランをご提案することもあります」(高橋、以下同)。
共同の子ども部屋を将来は分けられるようにしておく場合もあれば、同性のきょうだいであれば仕切らない場合も。ご家庭によってケースバイケースだそうです。
「子ども部屋の場所についても、リビングを通って子ども部屋に入る間取りが理想とはいえ、首都圏の一戸建てでは難しいことも。そこで例えば1階をLDK、2階を個室にする場合は、主寝室より子ども部屋の日当たりをよくしたい、というお客様が多いですね」。
子どもには明るく暖かい場所で過ごしてほしい、という気持ちからだと思われますが、日中は学校があるため、子どもが自分の部屋で過ごす時間は実は少なめ。
また、北向きの方が年間を通して採光が均一なため、勉強に集中できるという説もあり、自室で勉強するようになる中学生、高校生のお子さまには北側の子ども部屋でもいいかもしれません。その場合も通風や断熱はしっかり行い、湿気がこもったり冬の寒さが気にならないように配慮したいものです。
- ※【実態調査】子ども部屋はいつから必要?|東京ガス都市生活研究所
https://uchi.tokyo-gas.co.jp/topics/5082
畳数よりも、どう使いたいかを重視
リビング学習であればしっかりスペースをとるのがオススメ
「子ども部屋に限った話ではないのですが『子ども部屋は6畳欲しいです』と畳数でお話されるお客様が多いのですが、もう少し掘り下げて具体的なスペースの使い方をお聞きするようにしています。
子ども部屋であれば、どういうベッド、どういう勉強机を置くのかなどは必ずお聞きしています。既製品の家具のレイアウトが難しい場合は、ロフトやカウンターデスクを造作して、スペースを有効活用したり。6畳分をオープンにするよりは、4.5畳プラス1.5畳のクローゼットをつくる方が使いやすいことも多いんです」
リビング学習をすると決めているのであれば、子ども部屋はあえてコンパクトにつくり、リビングにデスクコーナーと家族共用の本棚を造作することも。
「その場合も、リビングのスタディコーナーは中途半端にせず、しっかりスペースをとるのがおすすめです。無理につくると生活動線にかぶったりして、かえって使いにくくなることが多いので」
子ども部屋で何をしたいのか(させたいのか)、何をしまうのかなどを、小学生以上であればお子さまと話し合っておくようにしましょう。洋服は自分の部屋に自分で、など最初はしまいやすいものから片付けの習慣をつけていきます。
ランドセルなど毎日使うものは、「ただいま」からの動線を考えて、子どもが片付けやすい定位置に。小学校低学年のうちは学校のプリントをもらったり、次の日の準備を親が一緒にする必要が多いもの。そのため学校関係のものはリビングに置き場所をつくるご家庭がほとんどです。

家づくりを通して「設計士になりたい」と言い出したお子さまも。
家族でひとつのプロジェクトに取り組むチャンス
子ども部屋をきっかけに、家づくり全般についても、どんどんお子さまを巻き込んでもいいのでは、と高橋。
「子ども部屋をつくるにあたり『どんな部屋がいい?』とお子さまとお話しているご家族は多いですね。クロスを自分で選んでもらうこともあります。クジラが好きだからクジラ柄のクロスとか、消灯すると天井に星が見えるクロスとか。
中高生になると『ゲームをしたいから壁に防音シートを貼ってほしい』とか、要望もより具体的になってきます。そういえば、家づくりの過程が楽しかったことから引渡し後に『設計士になりたい!』と言い出したお子さまもいらっしゃいました」
そういう高橋も、建築士になったのは子どもの頃の自宅の建築が最初のきっかけだったそう。家づくりは一大プロジェクト。お子さまも巻き込むことで、家族のコミュニケーションや家への愛着がより深まるのではないでしょうか。

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お子さまにとって子ども部屋は『初めての自分の世界』。片付けだけでなく、好きなようにものを置いたり飾ったりすることが、自主性を育てることにもつながります。理想の子ども部屋とは?について、ぜひ親子間でも話し合ってみてください。