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家族が集まるリビングは1階?2階?
それぞれのメリット・デメリット
家づくりにおいてリビングや水まわり、個室などをどう配置するかは、楽しくも悩ましい問題です。なかでも家族が集まるリビングは、住まいの中心。2階建ての場合、リビングは1階と2階のどちらがいいの?というご相談をよくいただきます。そこで今回は、1階リビングと2階リビング、それぞれのメリット・デメリットとポイントを解説します。

1階リビングのメリット&デメリット
立地によっては暗くて寒いというリスクが
昭和から平成の初め頃までのホームドラマやアニメで主人公が暮らす家の間取りのほとんどは、1階に居間があり、ダイニングと台所が独立しています。平成の中ごろから対面キッチン普及とともにリビング・ダイニング・キッチンをひとつの空間にまとめたLDKが増え、LDKとその他の個室という間取りが主流になりました。
LDKという団らんの場所(パブリックスペース)とそれぞれの個室(プライベートスペース)が明確に区別され、それぞれ1階、2階のどちらかに分ける間取りが一般的になっています。リビングをどちらに配置するべきなのか迷うところですが、まずは1階リビングのメリットとデメリットから見てみましょう。
- 1階リビングのメリット
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◇玄関から近く、生活動線がスムーズ
◇シニアになっても階段を使わず暮らせる
◇大型家電や家具の搬入がしやすい
◇家族のコミュニケーションがはかりやすい
◇庭やウッドデッキなどとつなげて楽しめる
- 1階リビングのデメリット
- ◆日当たりが悪く、寒さや湿気が気になる場合がある
◆道路や近隣住戸が近いと、プライバシーが守りにくい
◆耐震構造上、大空間がつくりにくい

1階リビングが向いているのはこんな人!
これらのことから、1階リビングの住まいが向いている人は次のような人といえます。
- 生活動線をコンパクトにして効率よく動きたい人
- 特別な事情がない限り、玄関は1階につくられるため、リビングが1階の方が外との行き来がしやすくなります。朝のゴミ出しや買い物帰りなど荷物があるとき、宅配便など不意に出る必要のあるときなどに、近いと便利を実感するはず。冷蔵庫など分解できない大型家電も、キッチンが1階にあると搬入が比較的簡単です。
- リビングを起点に家族とつながりたい人
- リビング階段などで、リビングを通って家族がそれぞれの個室に行く動線は1階リビングの方がつくりやすくなります。2階リビングが家族とコミュニケーションを図りにくいという訳ではありませんが、リビングが1階にあると、子どもが帰宅したときの声掛けなどがスムーズです。
- 将来の家族の介護に備えたい人
- 近い将来に家族の介護を控えている人や、自分たちがシニアになった時のことを考えて1階リビングを選ぶ人は多いです。玄関から車いすなどを使って入る必要があれば、おのずとリビングは1階になるでしょう。階段の上り下りを日常でしなくても済むよう、トイレやお風呂、寝室なども1階にまとめるとなお安心です。
- 敷地にゆとりがある人
- お庭がつくれるほどの敷地があるなら、1階リビングでも日当たりやプライバシーの問題はそれほど気にならないでしょう。リビングから庭を眺めたり、ウッドデッキなどとつなげてアウトドアリビングを楽しむことができます。また、犬を飼っている人も、お散歩のときの出入りに便利です。

2階リビングのメリット&デメリット
明るく暖かい反面、生活で不便なことも
続いて2階リビングのメリット・デメリットをご紹介します。
- 2階リビングのメリット
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◇日当たりが良くて明るく、冬も温かい
◇開放的な大空間がつくりやすい
◇近隣からのプライバシーが守りやすい
◇耐震構造上、安定しやすい
- 2階リビングのデメリット
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◆玄関が遠いため、日々の階段の上り下りが大変
◆バリアフリーにしづらく介護などには向いていない
◆家具や大型家電の搬入がしづらい

ほとんどの家は2階の方が日当たりがいいため、自然光のたっぷり入る心地のよいリビングは2階の方がつくりやすいでしょう。道路や近隣住戸からの視線も1階に比べると届きにくいもの。
また、1階に複数の個室(壁が多く重い)、2階に大空間(壁が少なく軽い)という間取りは、耐震構造上とても合理的です。耐力壁や柱などでさえぎられることが少ないため、間取りの自由度は2階リビングの方が高いかもしれません。
2階リビングが向いているのはこんな人!
- 明るく広いリビングがつくりたい人
- 2階建てはもちろん3階建ての場合も同じで、日当たりがよく眺めのよい2階にリビングを、1階に駐車スペースや個室を配置する間取りが都心を中心に増えています。スペースが限られているなかで、住まいの最も居心地のよい場所にリビングを、という考え方ですね。
- 狭小地や住宅密集地、前面道路の立地に家を建てる人
- 前項でも触れましたが、地価の高い都市部や住宅地では2階リビングが主流になりつつあります。敷地いっぱいに家を建てる場合や全面が道路の場合は、1階リビングではどうしても採光やプライバシーが確保しづらいためです。
- 階段の上り下りが苦にならない人
- もし階段での上下移動が苦にならなければ、2階リビングのメリットをより感じることができるでしょう。若いうちは2階リビングで、将来シニアになってからリノベーションでLDKを1階に移動する方もいらっしゃいます。

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リビングのベストな位置は立地や広さ、実現したい間取りによって変わります。今はよくても、長く住んでいるうちに暮らしにくくなる可能性も。しかしデメリットは、設計や施工の工夫で解決できることも多くあります。今後のライフプランもじっくりお聞きしたうえで、ご提案させていただきます。