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「不整形地」にはどんなものがある?
買ってもいいケース、ダメなケース

土地探しをしていると「不整形地」「変形地」という文言を目にすることがあります。このような土地は割安なケースが多いため、購入を検討したいという方もいらっしゃるでしょう。「不整形地」「変形地」にはどのような種類があるのか、購入後のリスクや、避けた方がよい不整形地の特徴について解説します。

不整形地の種類とそれぞれの特徴 その1
価格や課税評価額は抑えられていることが多い

土地は、全てが正方形や長方形とは限りません。正方形や長方形の「整形地」とは違い、三角形など変則的な形になっている土地を「不整形地」と呼びます。不整形地にはどのようなものがあるのでしょうか。

① 隅切り地

角地で、道路が交差する角の部分を斜めに切り取っている土地のことです。道路の幅員が狭い場合などに通行しやすさや見通しを良くすることが目的で、「角敷地の建築制限」と呼ばれています。隅切りが必要な広さや基準は自治体によって異なります。

② 三角地

名前の通り、三角形の土地です。角地の場合が多いですが、建物を建てるときにデッドスペースが生まれてしまいます。また、気にするかどうかは人それぞれですが、風水では三角地は凶とされています。

③ 旗竿地

道路に面している部分が細長く、その奥に敷地がある土地のことです。間口から敷地に伸びる部分を竿として旗のように見えることから旗竿地と呼ばれています。

④ 台形地

四角形ではあるもののそれぞれの辺の長さが一定でなく、台形になっている土地です。三角地よりは使い勝手は良いことが多いですが、角の形状や一辺の長さによっては三角地に近いものもあります。

⑤ その他 境界がギザギザになっている土地など

不整形地はいずれも整形地よりデッドスペースが多く利用が難しいため、価格が安く設定されているケースがほとんどです。また、課税評価額も「不整形地補正率」をかけて評価するため、整形地より税金が低くなります。不整形地の評価方法は、国税庁のホームページに詳しく載っています。

不整形地の種類とそれぞれの特徴 その2
立地によっては、造成費が大幅にかさむリスクが

前項の①~⑤は平面で見たときの土地のかたちが不整形なパターンでしたが、次のように、立体的な不整形地もあります。

⑥ 傾斜地

高低差がある土地のことで、土地そのものが傾斜している場合と、土地の前後が傾斜している場合があります。

⑦ がけ地

傾斜地の中でも傾斜が急で、宅地としての利用が難しい土地を指します。建築基準法上の定義は「地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地」。山を切り拓き、土地造成でつくられたがけ地は「法地(のりち)」と呼ばれます。

高台などにある住宅地には、がけ地と平坦部分が敷地内に両方あるケースもあります。がけ地は「がけ地補正率」を用いて課税評価額を低く補正します。

傾斜地やがけ地に家を建てるためには、多くの場合、がけ崩れなどを防ぐために擁壁(ようへき)工事や盛土工事などが必要となります。傾斜地の多い横浜市をはじめこれらの工事に助成金が出る自治体※もありますが、余分に費用がかかることは覚えておいた方がよいでしょう。

  • ※がけ地の防災工事や復旧工事に対する助成制度の例(年度内の交付申請が終了している場合があります)
    神奈川県|市町のがけ地に関する助成金制度
  • 東京都でもがけ地に関する助成金制度があります。(助成制度が無い区や市もあります)
    「東京都●●区(市)がけ地に関する助成金制度」で検索をしてみてください。(●●に該当する市区名を入力してください)

不整形地の弱点をうまく解決できれば
ユニークで住みやすい家が建てられる可能性も

さまざまな制限のある不整形地ですが、購入価格や税金が安くなる以外にもメリットはあります。例えば、隅切り地や三角地は多くが2面を道路に接しているため、日当たりがよく出入りがしやすい魅力的な立地である場合が多いのです。実際の施工例とともにご紹介します。

旗竿地は道路から奥まっているため日当たりが悪いと敬遠されがちですが、道路が遠く静かに暮らしたい人には向いているといえるでしょう。

さらに、不整形地は、土地の形状を生かして魅力的な家を建てられる可能性を秘めています。たとえば、旗竿地は中庭や吹抜けをつくることで開放感と日当たりをカバーできます。

三角地などは、土地に合わせてあえて壁を斜めにすることでユニークな外観デザインをつくり出すことが可能です。内部には四角形ではない部屋ができますが、遊び心を楽しめる趣味室や書斎にするのがオススメ。

高台にあるがけ地は眺望や日当たりが抜群によいのがメリットです。
オンリーワンの住まいをつくりたい、建物にしっかりお金をかけたいという方には、不整形地もじゅうぶん選択肢になり得るのではないでしょうか。

「安い!」に飛びつくと負の資産に
避けた方がよい不整形地はこんなケース

不整形地のデメリットは設計の工夫などで解決できることも多いもの。一方で、避けた方がよい不整形地も存在します。たとえば次のようなケースは購入を見送ったほうが無難といえます。どうしても購入を検討したい場合は、購入後にかかる費用や法令上の規制などを必ず確認しましょう。

間口が2mギリギリの旗竿地

「幅員4m以上の道路に2m以上」の接道義務は満たしているものの、間口が2mギリギリの旗竿地は避けた方がよいでしょう。家を建築する際に重機やトラックが敷地内に入らず、工事費用がかさんでしまうことがあります。

竿部分を駐車スペースにするとしても、駐車場の基本寸法である2.5m未満の幅は、軽自動車でなんとか乗り降りができるという程度です。あまりに2mギリギリ過ぎると、改めてきちんと測量したら実は2mに足りておらず、再建築不可の土地だったという最悪の事態も過去にはあったようです。

隣地との境界線が不明瞭な不整形地

整形地と違い、境界がギザギザになっている土地などは隣地との境界線があいまいになりがちです。とくに古い土地では境界杭なども劣化して、測量を行わないと境界がはっきりしないケースも。このような場合、将来的に隣接地の所有者とトラブルになるリスクがあります。購入する場合は、必ず購入前に隣接地権者との境界承諾書が取り交わされているかどうかを確認しましょう。

擁壁が老朽化している傾斜地やがけ地

傾斜地やがけ地ですでに擁壁が組まれている場合、擁壁が老朽化している土地は避けましょう。既存擁壁の解体費用と新しい擁壁工事で費用がさらにかさみます。さらに、既存の擁壁が各自治体の工作物として申請と許可が取れているか、確認が必要です。

その他、不整形地に限らず、以下のような土地は購入を避けるようにしましょう。
・災害リスクが高い土地
・市街化調整区域

Point!

不整形地には弱点もありますが、それをうまく生かせば魅力的な家が建てられます。不動産部門と設計部門があり、土地と建築の両方のノウハウをもつケーナインなら、デメリットをメリットに変える家づくりが可能です。土地探しからのマイホーム取得や不整形地への建築など、お気軽にご相談ください。