注文住宅
STORY 06

和の趣×モダンな開放感。
互いを尊重し合う
二世帯住宅

四季折々の風情漂う庭に囲まれて佇むDさま邸は、瀟洒な外観の二世帯住宅。ご両親がお住まいになる1階には本格的な茶室があり、Dさまご夫妻が暮らす2階には天井が高いモダンなリビングがあります。玄関を別にする1階と2階は、母と娘、それぞれの価値観が映し出されたこだわりの住空間になっています。

住まう人の個性を活かす、対話を大切にした理想の家づくり

ご両親と暮らす二世帯住宅を計画したDさま。建築設計にたずさわったケーナインとの出会いは、土地購入でお世話になった不動産会社からの紹介でした。その際、複数あった建築会社の候補からケーナインを選ばれた理由は、お母さまが望まれた「茶室」の実現に対して柔軟に対応してくれるなど、あらゆる面で要望に応えてくれそうだったから。「大手ハウスメーカーにも相談したのですが、あまり自由はきかないと言われてしまって。ケーナインさんにお願いして本当に良かったと思います」。

ケーナインの設計コンセプトは、「対話を大切にする家づくり」。お住まいになるご家族がどのような生活を望んでいて、なにを大切になさっているのかを一つひとつじっくりとお聞きしながらプランをまとめていきます。今回のDさま邸の場合でも対話を重ねるなかで、1階にお住まいになるお母さまには茶室に対するこだわりがあって、2階にお住まいになるDさまご夫妻は、南向きの明るいリビングを生活の中心としてイメージしていることが明確に。ほかにも会話から引き出されたご要望の中から優先順位をつけて、親世帯・子世帯それぞれの理想の家を形にしていったのです。

茶室の再現のために設計担当者が旧宅を訪問。
1階はしっとりと落ち着いた和の趣で統一

引越しされる前の旧宅で、茶道のお稽古をなさっていたお母さま。長年お使いになっている茶室には慣れ親しんだ茶道具が並び、確立された動線がありました。「50年以上茶道をたしなんでいるので、新居を建てる際に重視したのはやっぱり茶室。茶室さえあれば、後はもうすべておまかせする、みたいな感じでしたね」。

お母さまの思い入れのある茶室を再現するために、ケーナインでは設計担当者と現場監督のふたりで旧宅を訪問しました。実際に拝見することでイメージも具体的になって、水屋や床柱など、ディテールまできめ細やかにお母さまのご希望を実現させていったのです。

玄関ホールと土間は、お茶の生徒さんやお客さまのことを考えて、出入りしやすいよう広めに設計。茶室へのアプローチとなる大切な空間なので、全体的にダークなブラウンで色調を統一して、品格ある落ち着いた雰囲気を演出しました。

「今からふりかえると、打ち合わせ時に私の希望をいろいろと引き出してもらいました。大工さんも茶室の工事経験のある方をご手配いただき、細部まできっちりした丁寧な仕事にとても感謝しています」。

開放感のある吹き抜け空間に、
光が降りそそぐ2階リビング

1階に別玄関を設けることで親世帯と完全分離した2階が、Dさまご夫妻が暮らす住空間です。和のテイスト漂う1階とはガラリと雰囲気を変えて、こちらはシックでモダンな趣で統一されました。なかでもDさまがこだわっていたのは、自然光につつまれた開放的なリビング。南面にはバルコニーへとつながる大きな掃き出し窓があり、上部には高窓(ハイサイドライト)があるため、明るく開放的な吹き抜け空間になっています。また、昼間でも暗くなりがちな階段部分にはスリットタイプの縦すべり出し窓を取り付けて、十分な採光を確保。「雨が降っていても、晴れているときのような明るさが、室内のどこにいても感じられるのがいいですね」。

家の中の明るさとともにご要望されたのが、収納スペースの十分な広さでした。そこで、大容量のウォークインクローゼットや壁面クローゼットを設計スタッフが提案。併せて家事動線にも配慮し、キッチンや洗面室などをなるべく近くに配置して、邸内各所をひとまわりできる回遊動線にすることで、移動がスムーズな間取りを叶えました。

遊び心が息づくのが、シックな内装の中にさりげなく配置された、奥さまが子供の頃から大好きなキャラクター。邸内のここかしこで出会えるかわいい姿に笑みがこぼれ、日常が心豊かになるのだそうです。

母と娘の心をつなぐ、
雪見障子から眺める四季の風景

新居では植栽にもこだわり、外構計画もスタッフと綿密な打ち合わせを行っています。庭石や蹲(つくばい)、灯篭などは旧宅から移設して、風情ある雰囲気を新宅にも再現されました。加えてご希望されたのが、茶室にしつらえた雪見障子。旧宅では叶わなかった、部屋に居ながらにして愛でる庭の風景を、思う存分堪能したいというご希望だったのです。

「雪見障子は私のこだわり。絶対に取り入れてほしいとお願いしました」。新しいお茶室では、下半分がガラス張りとなったこの雪見障子から、四季折々の眺めを楽しむことができます。「ここに座って庭をながめていると、四季の移ろいが感じられて心がとても癒されます」と茶室でお話をされるお母さま。「お茶を点てていなくても、半日でもぼうっとしていられるよね」とDさまも頷きます。

椿をはじめ、茶花がたくさん咲いていたという旧宅の庭。すべての花々を新宅に持ってくることはできなかったので、お母さまはこれから庭にさまざまな花を植えるのが楽しみなのだとか。新しい茶室で母と娘のお稽古も再開され、ともに眺める季節の彩が、互いの心をつなぎ、かけがえのない絆がよりいっそう深まっていくのです。

趣とこだわりと機能性が調和した唯一無二の家

和のしっとりした落ち着き感が魅力の1階。モダンかつ開放的で光あふれる2階。親世帯、子世帯のそれぞれのセンスや想いが溶け合ったDさま邸では、玄関を別々にした程よい距離感で、新しい暮らしが穏やかにスタートしています。

設備へのこだわりも強かったDさまは1階・2階とも対面キッチンをご希望され、キッチンまわりにもアクセントとなるカラータイルをそれぞれのお好みで配色。着物や洋服、靴なども多くお持ちなため、事前に衣類の量を把握してからウォークインクローゼットやシューズクローゼットを設計しました。また機能面では、水まわりを上下階で同じ位置にして音が気にならない構造にしたり、断熱などの性能面もしっかりと配慮。趣とこだわりと機能性をうまく調和させることで、住まう人の想いのすべてを形にしたDさま邸は、世界に一つだけの物語を心地よく紡ぐお住まいとなったのです。