不動産サポート
STORY 10

引き継いだ土地に、会社の資産となるアパートを建築

事務所移転により、経営者として土地活用の選択を迫られたFさま。当初は売却を計画されていましたが、先代が幹部社員と苦楽を共にしてきた土地。ご自身の愛着もあり、迷っていたところをケーナインに出会いました。結果、賃貸経営という道に進むまでの経緯と、建築後の事業としての成果などを伺いました。

事務所移転は決まったものの、
土地の活用に迷いが

「父である先代社長から会社を受け継ぎ、社長に就任したのがおよそ10年ほど前でしょうか。父が事務所を建てた土地で営業してきましたが、このあたりも随分と変わりましたね」。そう振り返るFさま。ご自身が学生時代、アルバイトとして通っていた頃は畑に囲まれたのんびりした場所でしたが、いまやすっかり住宅地。設備・建築系の工事を担うご家業にはトラックや重機などの出入りも必要なため、事務所移転の必要が生じたといいます。

「そこで出てきたのが、これまで事務所として使っていた土地の問題。地価が上がってきていたこともあって、売却が現実的だろうと考えていました」。しかし、先代からの思い入れのある土地でもあり、会社としてどうにか活用する方法はないかという想いもあったそうです。

売却益か、賃貸経営か。
ケーナインからは両方の可能性を提案

迷っていた時にケーナインと出会ったFさま。社内に不動産と建築の両部門をもつケーナインからは、売却した場合のシミュレーションとともに、賃貸アパートの建築・経営という提案を行いました。「売却と、資産として保有した場合のプランが同時に比較検討できたのはとてもよかったですね」。

そんなとき、土地の買主候補として挙がっていた個人の方が、ここでアパート経営を考えていると聞き、「投資に見合う立地なんだ」と賃貸経営への可能性を強く感じたそうです。しかし、会社としては全く初めての事業。どんな物件を建て、どのように運営すれば継続的に収益が出るのかまでのはっきりとしたイメージはありませんでした。

「ケーナインさんに相談したところ、付近の賃貸物件のマーケットを調査した上での、具体的な設計提案もお願いできるとのことでした。確かに、最近はこの辺りにアパートがよく建っているなとは思っていたものの、そんな目で見たことがなかったので…。まずはプランを出していただくことになりました」。

専有面積は?家賃は?
現市場のニーズを把握して慎重にプランニング

建築予定地は、30坪程度の角地。第一種低層地域ということで、建てられるのは2階建てのアパートです。Fさまが気付かれた通り、付近には同規模の2階建てアパートが増えつつありました。都心のターミナル駅まで30分ほどでアクセスできる駅からもほど近く、便利な割には閑静で治安もいいことから、一人暮らしでお勤めの方を中心に人気が高まってきていたのです。

「ケーナインさんには、周辺の家賃相場やその推移だけでなく、専有面積・間取りごとの平均賃料、賃貸入居者の希望家賃や求める広さ、賃貸市場でニーズが高い設備仕様などを細かく調べていただきました」。それによると、付近で募集されている物件は約7割がワンルーム~1Kですが、実際に探す時に、ワンルーム~1Kで検索しているのは5割程度。約4割は25㎡以上の1LDKといった少し広めの物件を探していることが分かりました。

「その付近で実際に探されているのは、最も供給が多い物件よりも少し広めの部屋。単身者向けワンルームといえど、20㎡以上のゆったりした広さが求められているようでした。他にもバス・トイレは別々が望ましいことや、キッチンのスペックが高い物件は人気があること、収納が意外と重視されていることなど、最新の賃貸ニーズについてもアドバイスしてくれたので、とても助かりました」。

効率重視のプランではなく
10年後も住みたいと思ってもらえる仕様に

約30坪の土地面積で2階建てとなると、17~18㎡程度のワンルームを6戸備えることが可能です。実際に、近隣の物件の多くはそのような仕様のアパートでした。しかし、Fさまがケーナインに依頼したのは、効率ではなくプランで勝負できる賃貸物件。「周囲との差別化をはかりたかったんです」。

それに応えてケーナインから提案したのは、上下階各2戸の4戸のプラン。各戸25㎡と余裕をもったつくりでした。中央に階段を配することで各住戸が隣り合わず、プライバシーが守られたアパートです。全室角部屋であるため、窓はシャッター付き。セキュリティにも十分配慮しました。さらに、中階段によって建物形状がボックス型となり、モノトーンのモダンな外観が実現した点も、周囲の物件との差別化ポイントとなっています。

「内部の仕様も、コンロは電気ではなく、ガスにして2口備えました。賃貸物件には珍しくウォークインクローゼットがあるところもポイントです。あるデータで、男性より女性の方が同じ部屋に長く住む傾向があるという結果が出ていたため、女性にニーズの高い仕様を目指しました」。

細部までこだわった設計プランで空間を有効活用し
㎡数以上の広さと住みやすさを

実は、間取りや仕様といった目に見える部分だけでなく、設計プランにも見どころが隠れています。通常、設計時にはグリッドという910mm(半間)の単位に合わせて壁や設備などを配置することが一般的。もちろん、住む人のこだわりを盛り込んだ注文住宅を、建築費用を気にすることなく設計するのであればその限りではありませんが、収益物件の場合は、ある程度は最大公約数的に規格化された間取りにならざるを得ません。

しかし、こちらのアパートでは内部の有効面積をできる限りとるために、あえてグリッドに沿わずに半壁をつくったり、部分的にずらしたりして、設備などを細かく納めているのです。これにより、スッキリと美しい見た目と㎡数以上の空間の広がり、暮らしやすい生活動線が叶いました。「本当に、良いプランですよね」とFさまもしみじみと振り返ります。

建築中から満室が実現
更新を経て現在も入居が継続中

ニーズを反映した魅力的なプランによって、建築中から4戸全てが満室になったFさまのアパート。建築から4年が経過しましたが、契約更新を経て、新築当時からの入居者さまが継続してお住まいです。「もし空室になってしまったら社員寮にでもするしかないかな、と思っていたのですが、杞憂でしたね」とFさま。入居者の方々とも、良好な関係を築いてらっしゃるそうです。

「実は、他に大手ハウスメーカー数社にも、アパートの設計プランと見積もりを出していただいたんです。でも、ケーナインさんが最も魅力的な内容で、建築後の利回りも高い、優れたものでした」。会社の新事業として手掛けるにあたって経営者としてシビアに考えても、この選択肢は正しかったといいます。

そして何より、先代からの思い出深い場所に納得のいくアパートを建てることで、物件への愛着がさらに深まったFさま。まだまだ新しい建物ですが、今後の修繕計画などもケーナインとともに検討され、末永く付き合っていかれる予定だそうです。