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住まいの収納【本棚編】
かさばる本を美しく収納するには?
住まいの収納づくりについてお伝えしてきたシリーズ、今回は本棚編です。電子書籍もありますが、紙の感触を味わいながら読書を楽しみたい!という人はまだまだ多いのではないでしょうか。一方で、かさばって散らかりがち、重くてホコリがたまりやすいのも本の特徴。手に取りやすく、片付けやすい本棚とは?場所はどこにつくればいいの?など、本の収納についてまとめました。
サイズも版型もバラバラな本
まずは蔵書の把握を
住まいの収納をつくるときには、置きたいものを把握することが肝心です。棚板の奥行や高さを決める前に、どのような版型があるのかを解説します。
- 文庫本
- 一般的な文庫本のサイズはA6判(105×148mm)が標準。ハガキサイズです。かさばらないため、ちょっとしたニッチや飾り棚にも収納できます。
- コミック(マンガ単行本)
文庫本と同じA6判(105×148mm)もありますが、少年・少女コミックに多いのが小B6判と呼ばれる112×174mm。成年・女性コミックに多いB6判(128×182mm)、少し大きめのA5判(148×210mm)あたりまでが一般的なマンガ本のサイズです。
- 単行本(ハードカバー)
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新刊の小説などで用いられるのが四六判(127×188mm)。菊判と呼ばれる150×220mmもあります。
- 教科書・ノート
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小学校低学年~中学年くらいまでは、リビングまわりに置くことも多い学校の教科書。国語や算数はB5版(182×257mm)が多く、ノートも同じサイズです。しかし社会と理科はワイド版(21×257mm)であったり、図工や書写の教科書は大きめのA4版(210×297mm)であったりと、意外とばらつきがあります。
- 雑誌・写真集・絵本など
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文芸雑誌などはA5判(148×210mm)、週刊誌や一般の雑誌はB5判( 182×257mm)、写真集・美術全集などはA4判(210×297mm)、大きな画集やグラフ雑誌はB4判(257×364mm)。しかし絵本は変形版が多く、背表紙を見せて並べても揃わないことがよくあります。
主な本の種類 | サイズ(mm) | 判型(呼び名) |
文庫 | 105 x 148 | A6判 |
少年・少女漫画等のコミック本 | 112 x 174 | 小B6判 |
新書本・漫画単行本 | 103 x 182 | 新書判(B40版) |
青年漫画・単行本、コンビニコミック等 | 128 x 182 | B6判 |
文芸書等の単行本 | 127 x 188 | 四六判 |
ワイド版コミック、文芸雑誌・教科書等 | 148 x 210 | A5判 |
教科書・ノート | 182 x 57 | B5判 |
写真グラフ誌・ファッション誌 | 210 x 257 | AB判 |
写真集・美術全集 | 210 x 297 | A4判 |
同じジャンルでも、A版とB版が入り混じって、様々なサイズがあることが分かります。これらをすっきり収納するためには、どうすればよいのでしょうか。
本棚をつくる場所と、
つくるときの注意
手持ちの本のだいたいの量が把握出来たら、本棚をつくる場所とサイズを決めましょう。これも、本の種類や、本とどう付き合いたいかによって変わってきます。
- ◎いつも読みたい本や見せたい本はリビングの本棚へ
- お料理の本やお子様のリビング学習のための教科書、絵本などはリビングにある本棚へ。前述のとおり絵本は版型がバラバラなので、写真立てや雑貨などと一緒に、表紙を見せながら飾っても素敵ですね。ただし、リビングは日当たりがいいことが多いため、日焼けして困るような本は長時間置かないようにしましょう。
- ◎家族の通り道にファミリーライブラリー
- 家族みんなが読書好きなら、つくりたいのがファミリーライブラリー。家じゅうの蔵書を集めて並べれば、図書館のような雰囲気を楽しむことができます。また、廊下や階段ホールなどパブリックな場所につくることで、誰もが手に取りやすくなります。スペースに余裕があれば、椅子などを置いて読書を楽しめるようにしてもいいですね。
- ◎本棚の奥行きは手持ちの本に合わせて
- 造作本棚でまず決めたいのが奥行き。文庫本やマンガの単行本しか入れない場合は15~20cmあれば十分です。しかし、教科書や写真集なども入れるのであれば28cmあると安心。一般的なファイルボックスの奥行が27.5cm程度なので、書類もすっきりと収納できます。
- ◎棚板はできれば可動式に
- 高さについては、棚板の高さを変えられる仕様にしておくと、入れる本によって調節できて便利です。もし壁一面に本棚を作るのであれば、写真集などの大型で重いものは下の段に、文庫本などは上の方に入れると安定感があります。本がスムーズにとりだせるように、小型の本は上部を1cm程度、大型の本は2cm程度空けるようにしましょう。
- ◎棚板や床の強度、安全性にも注意!
- 本はとても重いもの。仮に幅90cmの幅にぎっしり単行本を並べると、その重量は15~20㎏ほどになります。棚板がたわまないよう、十分な強度の素材を選ぶことに合わせて、50~90cm程度の間隔で縦板を入れます。
さらに、本の重さは家自体の設計にも関わってきます。というのは、建築基準法で住宅の1平方メートルあたりの積載荷重が約180kgに設定されているからです。棚板が5段あるとすると75~100㎏の荷重に加え棚板自体の重さもあるため、設計段階で床の補強が必要な場合もあります。
また、ベッドサイドなどは避けて、地震のときなどに万が一本が落ちてきても安全な場所に設置するようにしましょう。
- ◎詰め込み過ぎず、余白をつくる
- 本の量は、本棚の収納量の8割程度が目安です。ぎっしりと詰まっていると圧迫感が出てしまうため、2割程度の余白を設けることで、すっきりと洗練された印象になります。
ぜひマネしたい
造作本棚の実例
実際、どんなふうに本棚をつくったらいいの?という疑問にお応えして、ケーナインでご提案したファミリーライブラリーの例をご紹介します。
こちらのおうちでは、踊り場に天井までの本棚を、壁面にニッチ本棚を造作しました。
本が入るとこのような感じで、まだまだ余裕がありますね。
文庫本専用の奥行の浅い本棚なので、このようにちょっとした空間を有効活用することができます。
2階ホールの踊り場もライブラリーコーナーです。
吹抜け側の腰壁には文庫本用の本棚、壁面には単行本も入る奥行きの本棚を造作。
文庫本用の棚の一部には、絵本の表紙を見せて飾っています。
このように低い位置なら、小さいお子様も手に取りやすいですね。
本をぎっしり詰めず、ところどころに遊び心をプラス。 本と飾るもののテーマを合わせたりと、さまざまな楽しみ方ができそうです。
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他にも、カウンターデスクの側に設けたり、リビングに造作したりと、ケーナインでは、使う人に合わせた様々な本棚をご提案しています。本以外にも趣味のものなど、飾りながら見せる収納も可能。まずは夢を語っていただくことからスタートし、そこから隠れた要望まで汲み取るのがケーナインの家づくり。「モノが多いから」とあきらめてしまわず、スッキリと美しい新生活を実現しましょう。