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住まいの外壁【サイディング編】
道行く人が足をとめて、思わず見惚れてしまうような美しい外観や、風雨や暑さ・寒さから守ってくれる家そのものの機能性は、「外壁」なしには語れません。前回は、機能・デザイン・コストのバランスが大切な外壁選びやその種類、なかでも代表的な外壁のひとつである「塗り壁」についてお話しました。今回は、日本の住宅で最もよく使われている※「サイディング」編です。
サイディングとは?
そのメリットとデメリット
前回のコラムでは、外壁の主な種類として「モルタル(塗り壁)」、「サイディング」、「タイル」の3つがあることをご紹介しました。なかでもよく使われている「サイディング」とはどのようなものなのでしょうか。
サイディングは、英語で「外壁」を表すsidingが語源で、サイディングボードという板状の壁材を貼って施工する外壁です。あらかじめ工場で製品化されているため、職人の技術が必要とされる塗り壁よりも施工の手間が少なく、工期も短縮できます。工業製品であることにより品質が安定していること、軽いため建物への負荷が少なく、耐震性が損なわれにくい点もメリットです。
そのため、賃貸住宅や3階建住宅などに採用されることが多く、製品の種類も豊富で費用やデザインなどの選択肢も広いため、日本の住宅ではサイディングが主流となっています。
ただ、板を張り付けるという特性上、どうしてもつなぎ目ができてしまうのが弱点。もちろん目立たないように施工しますが、それでも気になるという場合や、職人が手仕上げしたオリジナルの外壁にこだわりたい場合は、塗り壁を選ぶ方も多くいらっしゃいます。
さらに、メンテナンスにおいても、つなぎ目の目地部分(コーキング/シーリングともいいます)から劣化してくるケースがほとんどで、それがデメリットとなります。
サイディングの種類は素材によって分けられる
工業製品であるサイディングは、その材質によって大きく4種類に分けられます。
- 窯業系サイディング
- サイディングの中で最もシェアが高いのがこちら。セメント質原料と木繊維などを混ぜ合わせて成型し、高温の窯で硬化させてつくります。加工がしやすく防火性・耐久性に優れているのが特徴で、タイル柄やレンガ風、木目調などデザインも豊富。大量生産できるためコストパフォーマンスに優れているのも魅力です。
- 金属系サイディング
- ガルバリウム鋼板など金属を成型したサイディングボードで、メンテナンス性と断熱性の高さが特徴です。外壁の中でも軽量で、窯業系サイディングよりも衝撃や凍害に強いため、風の強い場所や寒冷地でのニーズが高くなっています。金属ならではのソリッドな質感がスタイリッシュで、カッコいい雰囲気に仕上がります。
- 木質系サイディング
- その名のとおり、木でできたサイディングボードで、自然素材ならではのあたたかみや質感にこだわりたい人に好まれています。ただし、表面を塗装や炭化処理しているものの、他の原料よりも水に弱く、再塗装などこまめなメンテナンスが必要です。
- 樹脂系サイディング
- 塩化ビニル樹脂を板状に加工したもので、軽量で耐久性が高い壁材です。日本には取扱いメーカーが少なく、あまりなじみがありませんが、アメリカでは広く普及しています。
サイディングの施工方法は?
下地にサイディングボードを貼り付けるのが基本的な施工ですが、その方法には2種類あります。まず、防水シートの上に直接貼るのが「直貼り工法」。しっかり密着するため強度が高く、施工のコストが抑えられる反面、湿気が内側にこもりやすいというデメリットがあります。
そのため、防水シートとサイディングの間にすき間をもたせて排水・乾燥させる「通気工法」が主流になりつつあります。これにより、外壁内部の結露やカビなどを防ぐことができます。
さらに、サイディングボードを貼る向きとして、縦貼りと横貼りがあります。つなぎ目の向きも、それぞれ縦と横になります。
縦貼りはつなぎ目が少ないため防水性に優れ、メンテナンスもしやすいのがメリットです。ただし、一般的なサイディングボードは長辺のサイズが約3mまでのものがほとんど。そのため外壁全体の中間に「水切り」という仕切りが入ります。水切りはサイディングを貼る方向に関わらず外壁の下部、土台との境目にも設けますが、外壁の中間を横断するとそれなりに目立ちます。
現在つくられているサイディングボードの多くは横貼り用のものが多く、その分選べるデザインが豊富で、見た目もスッキリと仕上がります。ただし劣化の弱点であるコーキングが縦貼りよりも多くなること、つなぎ目が横に入るため水がたまりやすいことから、メンテナンス性ではやや劣ります。
補修が必要かどうかのポイントは?
自分でも時々チェックしてみよう
常に紫外線や風雨にさらされる外壁。品質が安定しているサイディングとはいえ、傷みが出ていないか、たまに自分でも確認することが大切です。劣化しやすいコーキングにはがれたりヒビが入っている部分はないか、サイディングそのものが反ったりうねったりしている部分がないかなどをチェックしてみましょう。触ると白い粉がついたり、コケなどが生えている場合は、塗料が劣化しているサインです。
それぞれコーキングの打ち替えや再塗装、場合によってはサイディングの貼り替えが必要になる場合もありますが、素人には見極めが難しく、足場を組んだ大掛かりな工事になります。
外壁は外から見えるため、劣化が目立ってくると「補修しませんか?」という補修業者のチラシがポスティングされることがあります。しかし、外壁補修は家の耐震性などにも関わってくるため、その家を建てた建築会社に相談するのがよいでしょう。
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ケーナインではサイディング本体に短期保証で2年、外壁に10年※の保証期間を設けています。さらに、社内の現場監督がアフターメンテナンスにも携わるため、家全体の状態や予算も加味して、末永く安心して暮らせる補修計画をご提案します。少しでも気になることがあったら、お気軽にご相談ください。